『如是経序品』…ツァラトゥストラが菩薩だって!?

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これまで、何度か古本を売った。しかし、決して売らず手元の残しているものがある。この本はそんな1冊。メインタイトルは「如是経序品」。お経みたいな書名だけれど、ニーチェ著作を訳したものである。その名は言わずと知れた「ツァラトゥストラかく語りき」。

訳者である登張竹風はこの書に「光炎菩薩大獅子吼経」という大胆な訳名を付けている。「超人」を仏とし、ツァラトゥストラを菩薩だとして訳しているのにも大胆で驚かされる。 内容は単なる訳文だけでなく、訳者の注釈評論が含まれていて、これがまた面白い。

古めかしくはあっても文章の面白さは現代文のそれを遥かに凌ぐもので、笑わずには読み進めないほど。『佛頭に糞を塗るの誹は…』など、随所にユニークでユーモラスな表現がみられる。 1943年初版。装丁があの、岸田劉生というのも驚き。この本は絶対売らない。