国立能楽堂定例公演狂言「口真似聟」能「敦盛」

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「口真似聟」ははじめて。無知で世間知らずの婿がだまされて醜態をみせる狂言がいくつかあるが、この狂言もその一つ。口真似が中心で、筋の出来栄えがいま一つなこともあり、なんとなく中途半端な感じが残った。シテにもう少し余裕が欲しかった。

能「敦盛」は2000年に金剛流を観てから、2002年、2004年にも見ていて、通算で4度目。修羅物だが、ワキが僧でなく熊谷直実、シテが前場は直面、後場で舞を舞うという、ちょっと異色の曲。

シテの観世喜正には正直なところあまり期待していなかった(すみません)が、この日の舞台はそんな予想をいい意味で裏切る満足の舞台だった。十六の面をつけたシテの台詞は終始明瞭。舞も美しく若々しかったこともあり、ずっと見入っていた。

観世喜正師ってこんなにうまかった?と見直して見所を後にした。久しぶりだな、こんなに後味のいい舞台は。