「「意地悪」化する日本」内田樹×福島みずほ/岩波書店

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タイトルは「意地悪」化…となっているが、日本の意地悪に関する話は多くない。内容の大半は今の政権をテーマに、安倍晋三の性格やら今後の政権の動きなどを、政治家、思想家というそれぞれの立ち位置から話している。

対談には重要な発言もかなり含まれている。ここで引用したい箇所は十数あるが、中でも参議院選に向けて重要な内田氏の発言を紹介したい。

「…どうやったら憲法を停止できるか、それを細かく規定するのに憲法草案起草のエネルギーの相当部分を投じている。その意味では実に倒錯的な憲法ですよね。 どうしたら憲法が停止され、議会が召集されず、内閣に全権が集中されることになるか。読むと実に興味深いです。この草案によると、いったん緊急事態が宣言されると、法律上は未来永劫に憲法を停止し、内閣の独裁状態を継続することができます。 ナチスの全権委任法は4年間の時限立法でしたが、実際には議会を召集しなかったので無限に延長された。あれと仕掛けは同じです。議会で緊急事態を承認した時点からは選挙が行われない。ですから議会の構成メンバーは変わらない。 100日ごとに事態の継続を議決しなければならないと規定されていますけれども、投票する議員はずっと同じ顔ぶれなわけですから、未来永劫に同一の採決が繰り返される」(p.160)

これは大変に恐ろしいことである。与党に3分の2の議席を与えることは全力で阻止しなければならない。本書は全編対談なので、岩波の本は難しい、と尻込みする人でも面白くよめる。オススメです。