「憲法と政治」青井美帆/岩波新書

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本書は憲法との関係に着目しながら書かれた、これまでの政治の動きを総まとめしたような新刊。かなり文章が硬く密度も濃いけれど、じっくり読み込んで復習的に頭の中を整理するのに役立つ。

著者ははじめのほうで新しい形の立憲デモクラシーの広がりに触れながら、次のような感想を漏らしている。

…しかし、他方で、「戦争法反対!」への共感は、どこまで市民社会に広がったか。「「天が落ちる」とばかりにいっているが、まあ必要なんだし、別に大丈夫なんじゃないか」という雰囲気や空気がなかったろうか。2015年の夏、少なくとも筆者は、何かこれ以上は伝わらない「壁」のようなものを感じた。さらに最近では、「憲法守れ」という言葉自体が、「偏っている」「政治的である」と広くみなされつつあるように思える。」(p19)

この「壁」のようなもの、自分も感じるなあ。程度の差はあっても、同じような気持ちを抱いている人は少なくないのではないだろうか。「壁」はそれほど硬く、高くはないとは思うんだけどね。