「謡曲三百五十番集」は番外曲を含む貴重な1冊

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謡曲大観」(全7巻)「解註謡曲全集」(全6巻)など、主要な謡曲を収めた全集はいずれも複数巻でかさばるものが多い。これらは特定の曲を注釈などをみながら自宅でじっくり読むには便利だが、全曲をあれこれ渉猟するのには適していない。

そこで気楽に開けるのがこの「謡曲三百五十番集」。画像のようにコンパクトな1冊の中にぎっちりと350曲の詞章が入っているのが最大の特長。内訳は謡曲(主に現行曲)253番、曲舞46番に、番外謡曲が51番。とくに「阿古屋松」など他の謡曲集では読めない番外曲を含んでいるのは貴重なのである。

この本は10年ほど前、たまたま古書目録に出ていたのを見つけて購入した。天金もきれいなままであまり読まれた形跡がなく、3,000円はいい買い物だった。昭和3年刊。