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「原発プロパガンダ」(本間龍/岩波新書)

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原発は安全でクリーンなエネルギー」

福島の大事故がおきるまで、原発に対してこのような漠然とした印象をもつ人は自分も含めて少なくなかったと思う。多くの人がそのように刷り込まれたのは、新聞やテレビ、雑誌などで繰り返し目にするプロパガンダ(政治的意図を伴う宣伝)によることが、本書を読むと明らかになる。

本書は原発プロパガンダを黎明期から復活するまでを5期に分け、実際に掲載された紙面も紹介しながらさまざまな事例を取り上げ、批判を加えている。恐ろしいのは、この原発プロパガンダがすでに復活し始めているということだ。

筆者は第5章「復活するプロパガンダ」の「突出する読売新聞」の項でこのように言う。

 さらに、2016年2月28日には「資源なき経済大国 どうする? どうなる? 日本のエネルギー」と題する電事連との共同制作でカラー15段を掲載。著名人を登場させ原発停止によるエネルギー自給率の低下をことさらに強調して原発の必要性を説くが、たった一度の原発事故で今なお約10万人の人々が故郷に帰れない現実には、ひとことも触れていない。エネルギー確保のためには何が起きても原発は維持しなければならないとする、原子力ムラの冷酷で傲慢な広告を掲載し続けている。これは他の新聞社と比べて非常に偏った姿勢である。(p.181)

こうした原発プロパガンダに抗するため、著者は3つの提案をしている。まず、日々流れているニュースを軽々に信用せず、自分の頭で考えること。次にプロパガンダ・メディアに属さない独立系メディアの情報に耳を傾け、支えること。そして最後に、原子力ムラがスポンサードしているような広告を見聞したら、それらを掲載しているメディアに抗議の一報をいれること。

大きな事故が繰り返されないためにも、この3つを実践し広めたい。本書には、「へー、こんな人も原発プロパガンダの片棒を担いでいるのか…」というような有名人の氏名も複数挙がっていて、その点でも興味深い内容といえる。一人でも多くの人に読んでほしいオススメの1冊!