とにかくその場を凌ぐしかない! 

NPO法人の設立のことで伺いたいのですが……」

仕事でさまざまな役所の手続に関わっていましたが、こんな電話ははじめてのことでした。

「マズいな…」

知らないことを訊かれると一番焦ります。もちろん、NPO法人が何かなどという知識などあるはずがありません。ところが、むこうはこちらを実務家と思っているのですから、「知りません、他にどうぞ」ともいえません。

こんなときは時間稼ぎの手を使うんですね。私は一呼吸おいて「NPO法人のことですか?すみません、今来客中ですので改めてお話を伺います」とその場を切り抜けました。

もちろん客なんかいませんでした(笑)。こうして冷汗をかきながら何とかその場を凌いだというわけです。これがNPOとの関わりが始まった記念すべき日でした。そして、すぐに役所や本屋にいって手引や資料を集めにまわりました。

ところが、当時はNPOに関する概説書とか設立マニュアルなどはほとんどなく、都庁でもらってきた、記載例もない簡素なガイド(当時は無料でもらえました)だけを頼りに必要な知識を詰め込んだのでした。