オープニングのテーマは「金」 国立能楽堂定例公演より

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6日の定例公演は能が「金札」、狂言が「鴈雁金」。定例公演では通常狂言→能の順だが、新年最初の演目は能が先に演じられる。曲は祝言能で「金札」。あまり舞台にあがらない脇能で、能楽堂通いが今年で17年目となる自分もはじめてだった。

年始ということで、地謡囃子方は全員肩衣を付けて舞台に登場。曲のほうは筋らしい筋もない神様もので、見どころは後シテ太玉の神の舞働ぐらい。天神の面に金ピカの装束がなんとも新年最初の舞台に相応しく、虚心に楽しめた。囃子では杉信太郎の笛が出色だったな。

狂言のほうは和泉流野村万作ファミリーから3人のホープ登場。洗練されたイメージが強い野村萬斎がアドで津の国の百姓をつとめるということで、どんな舞台になるのか少し落ち着かなかったが、シテとの問答に入ると不安も去り、締めの舞いでは彼の狂言師としての能力の高さがはっきり見てとれた。

相舞で見てしまうと、ハコビや型の違いは歴然としてしまう。萬斎は舞台栄えのする研ぎ澄まされた舞を見せてくれた。このような曲が彼の才能を最大限に引き出すのだと思った。途中「秋来て春帰る」というべきところ、春秋を逆にしてしまったが、ご愛嬌。声が心配された万作師も昨日は問題なし。