国際平和の原理も、改正権の範囲外にある

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先週、じっくり憲法の本を再読した。テキストは芦部先生の「憲法 第六版」(岩波書店)。平易な文章の中にも高度な知識が凝縮されている、と評価の高い本で、今年の3月、最近の判例を追録した改訂版が出された。

読み進めるにつれ、集団的自衛権の容認をはじめ、現政権がいかに憲法の理念や原理を無視した暴挙を続けているかを実感せざるを得ない。

著者は<憲法改正の限界>の項で次のように書いている。

「改正権に限界があるとすると、国内の民主主義(人権と国民主権)と不可分に結び合って近代公法の進化を支配してきた原則と言われる国際平和の原理も、改正権の範囲外にあると考えなくてはならない。」(398ページ)

そもそも平和主義を改めること自体に限界がある、とも言われるなか、9条の改正すら経ずに戦争法案を強行するのであるから、アベ政権の行っていることは犯罪的な権力濫用といえる。

多くの人々と連帯してアベ政権を倒し、立憲主義を取り戻すために闘いぬきたいという意を強くした再読であった。機会があればご一読を。