『女の一生』…中盤からが面白いモーパッサンの作品

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モーパッサンの『女の一生』は中盤からが面白い。ジャーヌがジュリアンと結婚しコルシカ島へ新婚旅行に行くまでは大して面白くはなかったのだか、下女で乳姉妹のロザリが出産するところから次第にこの作品に引き込まれていく。

息子のポルが学校に上がると、母ジャーヌは子離れができずに世話を焼く。こうすることで子供は自立できず、結果的に反社会的な人間を生み出すことが多いのは現代でも同じである。

数年前にある人物と一緒に仕事をしたことがある。外面ばかり気にして何か困ったことが起きると他の人間にその後始末をさせて逃げることたびたびであった。彼はもともと一人で責任をもって事にあたることができないのであった。金銭面でもポル同様母親に無心し続けた。他人に迷惑をかけても何とも思わない、こういう人間が増大している。

人物の個性表現はいま一つだけれど、作品全体はやはり名作たるに相応しい内容をもっていることは疑いない。