『人生哲学入門』…寝転がっても読める堅苦しくない哲学書

0522

好きな方の書棚には、少なくとも1冊は哲学に関する本が並んでいることと思う。それはカントやニーチェなどの思想の概説書であったり、あるいは西洋哲学史であったりすることだろう。

まあふつうは「哲学とは」とか「哲学入門」というような本だろうが、これらの書物は「入門書」であっても結構難しい。用語や過去の哲学者の思想を限られたわずかな紙面で説明しているのだから、十分に理解するのは大変困難である。

そんな入門書の多い中で、本書の分かりやすさ、取っ付きやすさは抜けている。まず構成がユニーク。全体を「人生篇」「哲学篇」「倫理篇」「社会篇」と分けて、各篇の中の細目がわかりやすい言葉で流れるように書かれている。

いわゆる難解な「哲学用語集」とは違って、本書は寝転がって読んでもいいような中身である。はしがきには「この小著は、床の間に飾ってある高級美術品のようなシロモノではなく、すぐに役立つ鍋・釜といった台所用品にもたとえられるかもしれない」と書かれている。

その通り、他の哲学書はめったに触れられることもなく書棚に並んでいるのに対して、この本はことあるごとに引っぱり出されている。