『三島由紀夫全集第41巻』…三島の英語を聞くことができるゾ

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この第41巻は7枚のCDからなる。聞いたことのある三島由紀夫の声といえば、多くの人がまず思い起こすのが、自決した日にバルコニーから発せられた演説の声かもしれない。この巻では、そんな三島の肉声をたっぷりと味わえる。

7枚目に収録されている英語での講演の録音「私はいかにして日本の作家になったか」はすごい。たいした英語力もない私がこの有名作家の英語を批評するなど恐れ多いことなのだが、三島の英語は流暢で大変知的な印象を受けた。

流暢といっても、それは小林克也オノ・ヨーコの話すようなネイティブに近いものではない。彼らの話す英語がいわゆる英語脳的なものとすれば、三島の英語は、日本語で組み立てた文章を瞬時に的確な英文に変換しているように思える。

しかも、使われている単語はレベルが高い。CDから流れてくる英語は、日本語で書かれた内容のレベルを維持しており、そのまま文字にして評論文にもなりそうな内容。もちろん、用意した原稿を読んでいるのでもない。

講演の後の質問にもユーモラスに受け答えしている。改めて三島由紀夫の凄さを知らされた50分であった。