『芥川龍之介の読書遍歴』…読む速さは超人的

無題

芥川龍之介は多読、速読の作家として知られている。本書を読むと、凡人とは比較にならない読書習慣を知ることができる。内容は大半が芥川の読んだ書物を並べた読書年表で、前半の「読書人生」以外は読むところはない。どちらかというと研究者向けの資料集だと思う。

前半の「読書人生」は興味深い。とくに読書の速度について書かれたところは関心をひく。『…それは普通にいう速さなどではなくて、邦文のものなどは、あたかも銀行会社の職員が計算表でもめくっているのと同じようである』さらには『…普通の英文学書なら一日1,200~1,300ページは楽だといっていた。

まあ仮に一日1,200ページの10時間とすれば、1時間120ページ、1分間2ページということになるわけです』などとさまざまな人の回想が紹介されている。

自分も読むのは速いほうだと思うが、とても凡人に真似できるようなスピードではない。過去に読むスピードをいろいろ試してみたことがある。ゆっくり読んだからよく記憶に残る、ということはなかった。自分に合った速度を探すことだな。