積年の念願であった、黒川能をついに観ることができた

0302-1 週末を山形で過ごした。主な目的はかねてから念願だった黒川能を観ることだった。さいわい、自分の属する会に鶴岡出身の知人がいて、彼の取り計らいで観能が実現することになった。

会場は黒川・春日神社。今回は「王祇祭」とよばれる本式のものとは別の公演ではあったが、能二番、狂言一番をじっくり観ることができた。20年近く能楽堂で五流の舞台を見続けてきたものにとって、はじめて観る黒川能には驚かされ、さらには違和感さえ覚えることが少なくなかった。

演者の動きや地謡、囃子のいたるところに民族芸能的な要素が強く顕れる。式楽として発展してきた五流と、農民による神への奉納の芸能という、そもそもの目的の違いが明確に感じとれる。

黒川能を心から味わい、楽しむには五流の記憶を一旦忘れ、全てを肯定的に受け止めることが出発点だと感じた。※画像は「龍田」。